Archive for the ‘広告業界裏話’ Category

不気味な足音が聞こえ

金曜日, 11月 21st, 2008

トヨタの広告費30%カット(主に国内広告費の削減)方針、奥田前経団連会長の厚労省審議会での意味深・不用意な発言、伝統ある広告会社の倒産や由緒正しきバックが付いている(ハウス系)広告会社・制作会社の事実上の清算等など…広告業界に不気味な足音が聞こえている。 これは、始まりか、終わりか。 広告会社はこれまで、メディア媒体に対して金融的な役割も果たしてきた。つまり、広告主からの実際の入金より以前に媒体へ支払いを済ませ、広告主は自らの支払いサイトに従って、広告会社に対し一時的ではあるものの実質的なキャッシュフローの負担を強いて(しかも、手形が多い…)きた。そのため、広告会社は数か月のタイムラグを埋めるためのキャッシュフローを持ち合わせておかねばならず、昨今のような銀行の貸し渋りなどにより「回転」できなくなると、広告会社のキャッシュフロー倒産というカタチで問題が発生する。 今年度の広告業界の業績は軒並み悪化。だが、これは、サブプライムローン問題に端緒するだけの問題ではなく、上記のような広告を取り巻く構造的な問題が根幹にあることを忘れてはならない。 成熟社会だからこそ求められる、21世紀の新しい広告へ。 弱肉強食は世の常だが、政官財とも本当の意味での「弱肉強食」に従って生存しているわけでないのは自明。広告主やメディア(媒体社)は広告会社だけにその「建前論」を押し付けるべきではないし、広告会社もまたその押し付けを甘んじて受ける必要はない。 広告会社自身の問題はもちろん、広告主、メディア(媒体)も含めた広告の抜本的な構造改革・解決策の発見を迅速に断行すべき時期が来ている。

CSR

木曜日, 11月 13th, 2008

Compliance(法令遵守)、Corporate Social Responsibility(企業の社会的責任)が問われて久しい。 が、日本の広告業界を牽引している大手3社のうち、博報堂が障害者団体向けの「低料第3種郵便物」制度を悪用してダイレクトメール広告を格安で郵送していた問題が、朝日新聞の報道で先日発覚した。 「DM」業界における名簿(の流出・売買)や格安配送についての疑問・懸念は以前から根強くあったが、遂に公になった。今回の問題の発覚を受け、慌てて社内調査に着手した広告会社も多いのではないだろうか。 「branding」や「sustainability」などを合言葉のように唱え、企業にプレゼンし、多くの広告予算を獲得している広告会社そのものののCompliance、Corporate Social Responsibilityは何処へ? 今回の問題で当事者のみならず、広告業界全体が自らの襟を律するべきである。

続・電通の闇

日曜日, 6月 22nd, 2008

電通の中国子会社「北京東方日海広告」の中国人幹部が、今年2月に逮捕されていた。その使途不明金は過去6年間で14億円とも20億円とも言われている。 90年代から今世紀初頭まで、日本からの駐在トップは、不可解な費用の膨張に気づかなかったのだろうか。どうやら、売上・増収主義に走り、人事や総務、経理は中国人社員に任せきりだった模様。そこに、中国人社員の「乱脈経理」の付け入る隙があったようだ。 そして、平静を装いながら、この4月から北京電通「総経理」が東京から派遣された。もちろん、「中国問題」の処理が主な任務であることに違いない。北京五輪を前にスイスの法廷で名前があがった高橋専務にもお咎めなし。 電通の「臭いものに蓋」の闇はとてつもなく深いのだろう。いまもなお「電通の天皇」とも呼ばれる成田最高顧問は、このような事態をどう見ているのか。

NTT docomoはdocohe?

木曜日, 5月 29th, 2008

NTT docomoは携帯電話のオープン化政策に、未だ「フテ寝」で抵抗している。 電気通信事業法に基づく大臣裁定まで無視し続けるNTT docomoに対し、総務省が堪忍袋の緒を切らし、行政指導に踏み切った。そもそも、この「事件」は、通信ベンチャー・日本通信がNTT docomoに回線接続を求め、独自サービスを提供しようとしたところ、NTT docomo側が「難癖」をつけて応じなかったことに端を発する。 昨年11月の大臣裁定はNTT docomoの「全面敗訴」と言っても良い内容だった。 (1)エンドエンド料金(回線網を借りる業者がワンストップで利用者に料金を請求) (2)帯域幅課金 の2点において日本通信の主張が大筋認められたからだ。その裁定から半年。現在、接続に関する技術の検討などに入っており、サービス開始は09年まで待たなければならない。 それとは別に、日本通信はNTT docomoとのレイヤー3接続による「コネクトメール」を開始している。iモードの「メールアドレス・ポータビリティ」を実現したサービスで、日本通信はここでも大臣裁定を根拠に、エンドエンド料金と帯域幅課金による接続を今年3月下旬に申し入れたが、NTT docomoは応じていないという。 漏れ聞こえてくる情報によると、NTT docomo経営企画部が4月に日本通信へ送った回答書は、裁定の発端となった昨年1月の回答書と一卵性双生児らしい。コピー&ペーストか? 決着がついたはずのエンドエンド料金と帯域幅課金には未だ「合意を前提条件として」という一文が入っているという。技術協議に関する部分でも、コネクトメールはすでに接続され、サービスが開始されているにもかかわらず、「技術的な検討と協議が必要」という過去の回答のまま、開発費も「有」だったらしい。 増田総務大臣の面子は丸潰れ。NTT docomo側は、「案件が違う」という屁理屈で時間稼ぎをしているのだ。 契約数が1億件を突破して飽和状態に近づいた携帯市場の頭打ちを打破するためにも、日本の携帯ビジネスを、垂直統合型から「水平分業型」へと移行させるべきだ。話は多少異なるが、このブログでも既報の通り、米国では既にgoogleが「アンドロイド」で携帯オープン化へ向かった。日本も、まずは新たなプレーヤー・MVNO(仮想移動通信事業者)を市場に呼び込み、オープン化を進め、マーケットの拡大をすべきである。そのためにも、エンドエンド料金と帯域幅課金による相互接続が必須条件だ。 NTT docomoはなぜ大臣裁定を無視しているのか――エンドエンド料金と帯域幅課金による相互接続を行なうためには、ネットワーク原価を算出し接続料の約款を公表しなければならない。そうなると、パケット代に比べ不当に高い通話料や不透明な販売奨励金の処理といった現行料金体系の「矛盾」が公になってしまうからなのではないかと推測されても仕方ない。 総務省の側も日本通信をテコにして、膠着状態のMVNO政策に風穴を開けなければならない事情がある。それは、政府のIT戦略本部が提言し、総務省が力を入れる「ふるさとケータイ」は、地方の市町村やNPO(非営利団体)によるMVNOでの携帯事業参入を想定しているからだ。地方の活性化、産業創出、デジタル・デバイドの解消を目的にした首相官邸肝いりの通信政策だけに、民民不介入の立場であっても、NTT docomoの好きなようにはさせられない。 なるたけ時間を引き延ばし、新しいサービスの「陳腐化」を狙うNTTのDNAを継承するNTT docomoに対し、総務省は5月中頃、NTT持株会社の三浦惺社長へ大臣裁定に従うよう指導、三浦社長も「善処」を約束したらしいが…。 NTTグループでは、NTT東日本とNTT西日本の両社に対し、光回線の「Bフレッツ」とネット接続の「OCN」をセットで推奨するなど、子会社との一体営業で「競争を阻害している」として、今年2月に行政指導があったばかり。稼ぎ頭のNTT docomoまで行政指導を受ければ、NTTグループに「寡占の奢り」という「烙印」が押されるだろう。2010年に始まるNTTグループ再編論議にも大きな影を落とすことになる。 「NTT DoCoMo」から「NTT docomo」へとロゴを変えても、中身は変わらないのか?

朝日新聞の「メンコ」

金曜日, 5月 23rd, 2008

不思議なオペラ。4月に大阪、名古屋、東京で上演されたザルツブルク音楽祭の引越公演(朝日新聞文化財団、朝日新聞主催)のこと。 4月24日の上演は上野の東京文化会館ホール。客席のほぼ中央に、朝日新聞の秋山耿太郎社長がいた。上演は同紙創刊130年記念事業の一環だから、ゆかりの人々が大勢招待されている。秋山社長はせわしなく周囲に挨拶を送っていたらしい。 その華やかな一方、87歳の朝日新聞社主・村山美知子氏(朝日新聞社株36.46%を占有・筆頭株主)に自ずと注目が集まる。妹、富美子氏、甥の恭平氏の持ち株を合わせると、村山家で約144万株、45%を占める。姉妹が高齢なためその相続問題が、朝日新聞経営陣にとって頭痛の種との噂が耐えない。 法的な相続人は恭平氏だが、一株1万円で見積もっても相続額は120億円、「数寄屋橋や中之島の一等地に保有する不動産を考えれば一株8万~9万円でもおかしくない」といわれ、相続税を払えず国に物納の恐れもある。 過去に経営陣が株買い取りを打診したが、1960年代に美知子社主の夫、故・長挙氏を社長から追放したわだかまりが残り、評価額についても社員持ち株の買い取り価格と同じ一株1600円では折り合えなかった。 その円満解決こそ朝日新聞の歴代社長が果たせなかった難題だが、どうやら秋山社長はあと一歩までこぎつけていたらしい。朝日の「奥の院」は厚いベールに包まれているが、複数の関係者の話を組み立てると、その輪郭が浮かんでくる。 きっかけは06年に明るみに出た秋山氏の長男が大麻所持で逮捕された事件。秋山社長から辞意を聞いた美知子社主は「朝日に勤めて家庭を顧みず、息子が非行に走ったのでは、創業家としていたたまれない」と涙を流し、「株式問題の解決まで社長の座にとどまってください」と厳命したという。 水面下で工作が始まった。 大枠は、 (1)村山株を引き取る受け皿には、大阪国際フェスティバルなどの音楽会や美術展の助成を行う朝日新聞文化財団(秋山耿太郎理事長)をあてること (2)美知子社主の寄託と相応の額を朝日新聞社が同財団に出すこと (3)財団の定款を変更、助成の対象を文化全般に広げること (4)財団の理事会を改組し、秋山氏に代えて外部から理事長を招請するなど陣容を一新すること これは文化財団を事実上の朝日新聞の持ち株会社にすることにひとしい。美知子社主は財団の理事も務めており、先の『フィガロ』上演など文化事業に実績のある財団なら税金も安くなる利点があるが、鮮明なのは甥の恭平氏に相続させたくないという社主の意向だろう。村山姉妹には、もともと根深い対立がある。美知子社主は妹の結婚を認めず、その子にも拒絶反応を示してきたという噂が公然と流れている。 06年12月3日、ウェスティンホテル大阪の中華料理店で、村山家と上野家(社主・尚一氏、克二氏、信三氏)の創業2家が一堂に会し、美知子社主も車椅子で出席した。これを機に恭平氏は相続人として“認知”されたかのように振る舞い、週刊誌の取材にも応じたが、やはり不信の溝は埋められなかったらしい。  文化財団を持ち株会社にするアイデアは、かつて箱根の「彫刻の森美術館」を使ってフジサンケイグループを支配した鹿内家の手法を思わせる。ただ、朝日のケースは創業家と会社が手を携えて持ち株会社を形成する違いがある。鹿内家を駆逐した日枝久・フジテレビ会長を恭平氏が密かに訪ね株式問題を相談した話も、さもありりなん。 肝心の株式評価額をいくらとしたのかは漏れ伝わってこないが、内々に国税に打診したらしい。新理事長就任を96歳の聖路加国際病院理事長兼名誉院長の日野原重明氏にも依頼し、朝日新聞記者だった細川護熙元首相らを新理事に加える予定だった。09年に文化財団を衣替えする計画は準備万端整い、昨年12月に秋山社長が美知子社主に報告に行った。 そこでドンデン返しが起きた。 御影町の9千坪の屋敷でベッドと車椅子の暮らしを続ける社主は、心変わりしていた。株を手放すのはいや、という。邸内にある財団法人、香雪美術館への寄託が念頭にあるらしい。秋山社長はやむなく年明け、新理事に内定していた人々を集めて「申し訳ない」と計画の中止を告げたという。 元の木阿弥。挫折した極秘プロジェクトが社内の一部に漏れた。初耳だったある論説主幹経験者は「水臭いじゃないか」と秋山社長に詰め寄ったとのこと。 テレ朝が肩代わりに名乗り?これとは別に、上野家の株主3人は3月、美知子社主や恭平氏の同意も得て、 (1)甥を含む4親等まで相続できること (2)社主が相続人を指名できる(現行定款では代表取締役に決定権) (3)株式を時価評価とすること テレ朝で持ち合い構想を進めているのは、テレビ生え抜きの次期社長候補、早河洋副社長らしい。朝日新聞側は複雑だろう。テレ朝の広瀬道貞会長も君和田正夫社長も新聞出身で、持ち合いが実現すれば、フジテレビと産経新聞のようにテレ朝が朝日新聞の親会社になり、“獅子身中の虫”によるクーデターとも見えかねない。 ある試算によると、「現状」(部数の減少と広告費の減少)によって、8年後には「朝日新聞」がなくなるかもしれないという。 そういう「現状」を前に、何をやっているのだか・・・。痛々しい、というほか無い。